第57話 かわいいよ

Inclusion 
第57話 かわいいよ

R指定するほどでもないと思いますが、ちょぴり大人の表現があります。苦手なかたはスルーで。




 初めてのミラノでの朝、目が覚めるとあたしは、類の腕の中にいた。
 キングサイズの大きなベッドの真ん中で、甘い夢から覚めた。
 類の腕に抱かれて、類の夢を見る幸せ。

 夢の中の類は、紳士的で優しくあたしにキスをした。そして、好きだよと囁いた。その綺麗な唇が、繊細な動きをする指先が、あたしのすべてに触れて心まで溶かされた。そんな、ちょっぴりエッチな夢をみた。それは、きっとこんな風に類の匂いに包まれて、その熱に浮かされて眠っていたからだ。

 昨夜は、類がバスルームに消えてから、類の匂いのするベッドに横たわった。旅の疲れも重なって、あっという間に夢の世界へ引きづり込まれた。

「ごめんね、類」

 夢じゃなくて、ちゃんとリアルで抱きしめ合う心の準備はしてたんだよ。
 なのに、あたし寝ちゃった。

 夢の中の類は、痺れるほどかっこよくて優しかったけれども、今、目の前で眠るリアルな類には、きっとかなわない。先に寝てしまったあたしを、こんなにも大切に腕に抱えてくれている。

「類.....おはよう」

 きっと疲れているんだろうな。ぐっすり眠って起きる気配もない。
 バスローブのはだけた胸元からのぞく、類の素肌。近すぎてその熱まで頬に伝わってくる。さっきの夢の続きみたいに、あたしの躰の奥が燻って疼きだす。
 ああ、もうこれは条件反射だ。口づけたくて堪らない。

「るい......」

 触れて欲しくて名前を呼ぶけれど、眠りの王子様は、起きるわけもなく、あたしはさみしく待ちぼうけをくらう。夢の中の類のせいで、灯った熱を逃す術がない。どんどん甘い熱は高まって、あたし一人じゃもう抱えきれなくなってきた。

 キスで起きるかもしれない?あたしは、目の前の類のバスローブのはだけた胸元をぐいと広げた。
 そして、そっとその胸に唇を寄せた。ちうっ、と吸い付くと赤い痣ができる。
ひとつ、ふたつ、その胸に。そして、白い喉に唇を寄せたとき、あたしを抱きしめていた類の腕が緩んだ。

「牧野、なにやってんの?」

 うわ、バレちゃった。
 すぐに、類の左手がバスローブの胸元から滑りこんで、あたしの右の乳房を包み込んだ。
 じわりと軽く握られる。

「あっ、あの、キス.....」

 押し上げるように包み込み、頂をつままれた。突然の刺激に頭の中に電流が走った。
 ビクリと反応する躰。

「キスして欲しいの?」

 そういいながら、その唇は、すでにあたしの胸を激しく咥え込んでいて。

「おはよう、牧野」

「よく眠れた?」

「昨日は先に、寝ちゃって、俺がっかりだったよ」

「気持ちいい?」

「あれ?どうしたの、言葉も出ない?」

「もっと?」

 類は、あたしに一方的に話しかけながら、酔狂な愛撫を始めた。言葉を返すことなんて、もちろんできるわけがない。答えようとすれば、刺激を強められて、言葉は嬌声に変わる。

 欲しかった刺激が体中に与えられ、満たされる。類の大きな手があたしを抱きしめた。さらなる甘美な刺激が胎内の欲しくて堪らなくなる。言ったら負けとわかっているけれど、言わずにはいられない
「るい.....欲しいよ」

「もう?」

 類は、しょうがないなぁなんて言いながら、溢れる泉に指を滑りこませた。
 類の滾る熱を受け入れるために、準備万端、さぁ、と二人息を合わせたところで、ベルが鳴った。

「えっ....」

「何?」

 インターホンからは、焦った声の田村さん。

「類様、お時間です!!お迎えに上がりました!」

「また、お前か!」

 と類が怒るが、すぐにはっとした表情に変わる。そして、壁の時計を確認。

「やばい、今日、早朝会議だった」

 類が舌打ちをする。

「類様、お急ぎください、あと10分ほどしか時間がありません」

「あと、もう少しなんだけど、だめ?」

「ダメです!遅刻します。今日の会議は、類様がいないと始まりません。牧野さまもご用意ください」

 あたしたちは、顔を見合わせた。

「どうする?」

「いや、どうするって仕事でしょ?類、遅刻はいけないよ」

 類は、ごめんとあたしに慰めのキスをした。
 そして、あたしたちは、冷めきらぬ躰のまま身支度を始めた。二人とも不完全燃焼で、あまりのショックに声も出ない。

 まるで通夜のような状態で、田村さんの運転する車に乗り込んだ。昨夜とはうって変わって、二人とも前を見たまま。少しでも触れたら、すぐにあの熱が戻りそうで、そうならないように互いにクールダウンを試みた。

 あの甘い雰囲気からの急降下。最悪だ、田村さんにもしっかりバレてるし。類のバカ!と思っても、あたしも悪いから何も言えない。
 田村さんは、ひたすら車を走らせる。

「牧野、今日の予定だけど、イタリアでのHANAZAWAの支社長に紹介するよ」

「そんな、あたしなんて部外者だし」

「部外者じゃないよ。俺のフィアンセだ。それだけで十分」

 類の会社に行く。それだけで不安なのに、その支社長に会うなんて。イタリア語だって話せない。
 不安で類を見ると、類はそれもお見通しのようで、

「心配しないで、俺がいるから。牧野は、牧野らしくいてくればいい」

 肩を抱くように慰められた。

「牧野様は、類様を信じてくだされば、何も問題はありません」

 田村さんまでもが、優しい言葉をくれた。

「あと、午後からは、仕事オフにしたからふたりでゆっくりしよう」

 また、一緒にいれる。類のその言葉を聞いただけで、あたしは笑顔になった。それを見た類の手が、そっとあたしの右手に重なる。あたしの頬がぽぉっと色づいた。

「牧野、今日もかわいいよ」

 類は、田村さんに聞こえないように、あたしの耳元に唇をよせて、こっそり囁いた。


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8 Comments

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2019/05/15 (Wed) 06:13 | EDIT | REPLY |   

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2019/05/15 (Wed) 07:47 | EDIT | REPLY |   
sirius

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ず*さんへ

こんにちは。
寝てるつくしに・・・そんな~うちの類君に限って、そんなふしだらなことがしませんよwww
いやいやするね。普通にすると思いますが、昨夜は、セーフですね。好きすぎてかわいすぎて抱っこして寝ただけだと思います^^
でも、朝こんなことになって、やっぱり昨夜、ヤッとけばよかったでおもってるかも?
かわいいと類に言われてみたいですね~。つくしちゃん幸せですね。

2019/05/15 (Wed) 13:26 | EDIT | REPLY |   
sirius

sirius  

悠*さんへ

こんにちは。そうそう!その通り!!
カテゴリー間違えちゃった💛テヘペロ💛許して!自分でもびっくりして直しましたw
類に、めちゃ睨まれそうな間違いでした(/_;)
ご飯の司君バージョン、やったね!そう来なくっちゃね。
こちらこそ、よろしく^^

2019/05/15 (Wed) 13:29 | EDIT | REPLY |   

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2019/05/15 (Wed) 13:58 | EDIT | REPLY |   
sirius

sirius  

お**さんへ

こんにちは。
宿題の下りは類パパのセリフに連動していますのでね。
ああ~そうだったのね。全然 お**さんは、理解してると思いますよ。大丈夫です^^
今は、甘い二人を楽しんでくださいね。コメありがとう^^

2019/05/15 (Wed) 15:38 | EDIT | REPLY |   

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2019/05/15 (Wed) 23:09 | EDIT | REPLY |   
sirius

sirius  

l***さんへ

今回の田村さんは、絶対いい男に違いないという、私の勝手な妄想で、いろいろ頑張ってもらっています^^
類とつくしの残念感、パンパないですよ^^
類のことが大好きなつくしなので、少し積極的にしてみました。
経験済みだし、あまりにも恥じらいすぎでなにもしないのもなぁという。
それを可愛いと解釈する類君。べたべたですね^^
類からの甘い言葉言われてみたいですね。

2019/05/16 (Thu) 14:41 | EDIT | REPLY |   

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